一時期人気が沸騰していた燃料電池業界は、長年にわたって再生可能技術との競争を繰り広げてきた歴史があります。
斗山フューエルセル・アメリカの成り立ち
斗山フューエルセル・アメリカ（Doosan Fuel Cell America）は、韓国の斗山（Doosan Corp.）が、倒産したサウスウィンザーの燃料電池メーカー クリアエッジ・パワーを買収した後、2014年に設立されました。
斗山はコネチカット州で25MWの設備を導入しており、さらに30MWの設備が進行中だと、同社の広報担当者デビッド・ジョルダーノは明らかにしています。
「今回の30MWのプロジェクトは、ここコネチカット州で数メガワットのプロジェクトを競う機会であり、これにより当社は高給の製造業で人々を雇用し続けることができます」と話しています。
フューエルセル・エナジーの立て直し
燃料電池技術の元祖パイオニアのひとつであるフューエルセル・エナジーは、2019年に急降下し、州内の従業員の3分の1を解雇し、会社の立て直しのために新しい最高経営責任者を指名しました。
同社はその後、それらの従業員の一部を再雇用し、コネチカット州でおよそ300人を雇用しているとゲルストンは述べています。
証券取引委員会に提出した最新の四半期報告書によると、フューエルセル・エナジーはまだ黒字経営を達成しておらず、営業からのプラスのキャッシュフローも維持できていないのが現実。
また、トリントンの製造施設を拡張するために2015年に州から得た1,000万ドルのローンの返済を続けています。
提出書類によると、この融資は、フューエルセル・エナジーが2年間で538名のフルタイムの最低雇用目標を達成した場合、一部が免除される仕組みになっていました。
申請書によると、同社は2022年10月31日の期限までにその目標を達成できないとしている。まあそうなるでしょう。
クリーンエネルギーに投資を行う金融機関の動き
フューエルセル・エナジーは現在、コネチカット州で43.5MWの設備を導入しており、コネチカット州グロトンの海軍潜水艦基地で完成間近の7.4MWの燃料電池マイクログリッドプロジェクトを含む、合計32.4MWのプロジェクトが進行中です。
コネチカット・グリーンバンクはフューエルセル・エナジーがフィスフス・サードバンクを通じてこのプロジェクトの建設資金を調達するのを支援しました。
プロジェクトの残りの部分は、リバティバンク、アマルガメーテッドバンク、グリーンバンクが提供する長期ローンで賄われていると、グリーンバンクのチーフ・インベストメント・オフィサーであるバート・ハンターは述べています。
グリーンバンクは、コネチカット州内の燃料電池プロジェクトのために、約1,600万ドルの自己資金を含む総額8,200万ドルの資金を調達しました。
それでも、燃料電池業界のリーダーたちは、定期的に「州が十分な支援をしていない」と訴え、州のエネルギー環境保護局が邪魔をしていると示唆してきたのです。
共有クリーンエネルギー施設
直近の例では、両社が2020年に、十分なサービスを受けていない地域でクリーンエネルギーを利用できるようにすることを目的とした州の新プログラム 共有クリーンエネルギー施設（Shared Clean Energy Facility）による契約締結に向けて入札を行った後のこと。
2020年7月、フューエルセル・エナジーはエバーソースとユナイテッド・イルミネイティングから4つのプロジェクトを獲得したとの事前通知を受けた。
斗山もまた、落札したという初期通知を受けた。
しかし、落札が確定する前の11月、公益事業規制庁は、プログラムの初年度に「プログラム上の欠陥」が露呈し、それを明確にして再実施する必要があるという懸念を理由に、エバーソース社に対し、これまで失格となっていた一部の太陽光発電プロジェクトの入札を再評価するよう命じました。
その後、入札賞は太陽光発電プロジェクトに与えられ、フューエルセル・エナジーは1件の受賞を維持しました。
当然、両社は直ちに抗議の声を上げた。
斗山は規制当局に提出した書類の中で、規制当局と州エネルギー局が州の現在の経済状況を考慮せずに決定したことを非難。
また、フューエルセル・エナジーのCEOであるジェイソン・フュー氏は、選考過程において限定的な監視の役割を担っていた同局を非難した。
フュー氏は公式声明の中で、同局が「州の国産燃料電池産業に悪影響を与える行為を行った」と述べています。
フューエルセル・エナジーはその後、規制当局の命令を高等裁判所に訴えたが、先月になって判事はこの控訴を棄却。
クリーンエネルギー経済は多くの課題に直面している
エネルギー担当副長官のハケットは、州は脱炭素化、送電網の回復力向上、大気質の改善、エネルギーコストの削減、クリーンエネルギー経済の構築など、気候危機に関連する多くの課題に直面していると述べています。
燃料電池については、マイクログリッドとして配線された場合のバックアップ電力の供給や、耐障害性の向上を目的とした導入が最適だという。
ターゲットを絞り、戦略的でなければなりません。すべての資源は、その最高かつ最良の用途で使用されるべきです。
また、経済発展という目標をサポートしていますが、それは特定の資源をサポートする以上の意味があります。それは、不必要にエネルギーコストを増やさないということです。
グリーン経済を考えるとき、州内の製造業をどのように支援するか、不必要にコストを増加させず、送電網の回復力を確実に高めるにはどうすればよいのか」。
同局は、ブリッジポートに計画されている9.66メガワットの燃料電池発電所の利点を疑問視しており、これは納税者にとってコストがかかりすぎ、送電システムへの恩恵も限られていると述べています。
グリーンバンクのブライアン・ガルシア社長兼最高経営責任者（CEO）は、「災害時や送電網の停止時に、地域社会が信頼性の高い電力を利用できる重要な施設に、燃料電池がすべての市や町に設置されることは素晴らしいことです。特に気候変動の影響が大きいですからね」と語る。
例えば、ウッドブリッジでは、2.8MWの燃料電池が送電網に電力を供給していますが、停電時には警察署や消防署などの重要施設の電力供給に切り替えられます。
斗山のジョルダーノは、燃料電池のもう1つの利点として、「電力会社は、大規模で、往々にして汚染された中央発電所から電力を送るために送電線に投資するのではなく、重要なニーズのあるポイントで分散型発電に投資することができます」と語る。
しかし、憂慮する科学者同盟のシニアエネルギーアナリストであるジュリー・マクナマラ氏は、気候危機の最中にガス燃料電池を再生可能と分類し続けることは意味がないと指摘する。
燃料電池が窒素酸化物を排出しないのは事実ですが、天然ガスに頼り続けていては、二酸化炭素の排出量を調整することはできません。
科学的にも明らかで、クリーンなエネルギーの未来のために全力を尽くす必要があります。
天然ガスにインセンティブを与えることは、それにはあたらない、という考えです。