にわかに持て囃されているフードテック業界。その中でも人気のアップハーベストですが、実際には多くのリスクがあります。同社にはたくさんの超えなければならないハードルがあります。アップハーベストに見られる主なリスクを挙げていきます。
1. 取り扱っている証券会社が少ない
フードテック産業への期待は日に日に高まっていますが、まだまだ国内では知名度がありません。
楽天証券など大手でも取り扱いが始まっておらず、国内から投資すること自体が難しくなっています。
日本でもこの状況ですから、世界の投資家を相手に資金を集めるのはもう少し先になると考えた方がよいでしょう。
取り扱う証券会社が少ない状態が続くと、投資したくてもできなかったり、後回しにされる可能性が高くなります。
それらは長い目で見ると、アップハーベストを目にする機会や、話題になるチャンスも少なくなります。
2.マストロナルディ社への依存性
アナリストのブライアン・フェロルディ氏とブライアン・ショッフェル氏は、アップハーベストを掘り下げたビデオを記録していますが、アップハーベストの主要なリスクの1つは、マストロナルディ社への依存です。
これは大きなリスクで、もしこの提携について何か不都合が生じれば、アップハーベストはウォルマートやPublixなどの大手食料品店などの販売者とのつながりをほぼすべて失ってしまうことになります。
農場が直接食料品店と提携する一般的な農場とは異なり、アップハーベストはマストロナルディと提携し、同社が食料品店と提携します。
マストロナルディは、アップハーベストのすべての農産物を買い取り、食料品店に送ります。
これにより、アップハーベストはバイヤーの集中力を高めています。
現在、両社は10年契約を結んでおり、マストロナルディがアップハーベストの製品を販売し、ブランド化し、マーケティングを行うことになっています。
ですから、この10年契約の残りの期間は問題ないでしょう。
しかし、この契約後に契約を更新しないと、アップハーベストはいくつかの問題を抱えることになります。
そうしないと、販売している食料品店をすべて失ってしまい、自分たちでその基盤を作り直さなければならなくなります。
会社の20年以上の展望を考えれば、その方が良いとは思いますが、アップハーベストはこの提携で自らを窮地に追い込みました。
ここで何かマイナスのことが起こり、足元をすくわれるようなことがあれば、株価にも大きな影響が出ると考えています。
3.消費者へのアピール不足
アップハーベストは伝統的な農家とは一線を画し、何が彼らを特別でユニークな存在にしているのかを消費者に教育する必要があります。
同社のトマトは、短期的には価格がずっと高いことを除けば、普通のトマトとよく似ています。
消費者は、トマトに違いがないと思えば、安い方を選ぶに決まっていますが、これでは明らかにアップハーベストが不利です。
したがって、消費者に自社のトマトと他社のトマトの違いを教え、自社のトマトが他社よりもはるかに優れていることを示す、強力なマーケティングキャンペーンを行う必要があります。
これができなければ、トマトは売れないでしょう。
4.価格の問題
一般市民への教育にかかわらず、アップハーベストは製品の価格を下げる方法を見つける必要があります。
一般の人々を教育できない場合、このリスクは非常に重要です。
アップハーベストの使命は、未来の人々に食料を供給することですが、価格が通常の価格の2倍になってしまっては、その使命を果たすことができません。
彼らはすべての人に食料を供給したいと言っていますが、価格が高いままでは、特に貧困層の人には供給できないでしょう。
食材の価格を下げることができなければ、自分たちのミッションを達成することができず、自分たちのビジョンをどれだけ実行できるかを考え直す必要があります。
5.創業者への依存性
アップハーベストは、多くの若いスタートアップ企業と同様に、経営陣に大きく依存しています。
社長のデヴィッド・リーと創業者のジョナサン・ウェブは、このビジネスを正しい方向に導いてくれていますが、もし彼らが辞めるようなことがあれば、アップハーベストは路頭に迷うことになるでしょう。
少なくとも、これまでのようなスピード感は維持できません。
彼らが撤退するとなれば、アップハーベストへの将来性に見切りをつけたのだと判断して良いでしょうね。