日本国内の暗号資産(仮想通貨)に関する税制は近々変更される?暗号資産の金融商品化・分離課税の導入検討

雑所得として計上しないといけないなんて厳しすぎる。しかし、現時点(2025年4月22日)で個人の所得税に関する大きな変更が具体的に決定されたという公式情報はありません。ただ、税制改正に関する議論や要望は続いています。

1.現在の税制(主なポイント)

暗号資産

個人

暗号資産の売却益や使用による利益は、原則として「雑所得」に分類されます。
給与所得など他の所得と合算して税額を計算する「総合課税」の対象となります。
所得税率は累進課税で、住民税と合わせると最大55%になります。

年間の取引で損失が出た場合、他の所得(給与所得など)と損益通算することはできず、損失を翌年以降に繰り越す「繰越控除」も認められていません。

法人

以前は、法人が期末に保有する暗号資産は、売却していなくても時価評価し、含み益に対して課税されていました。

しかし、2023年度(令和5年度)税制改正により、法人が発行時から継続して保有している暗号資産など、一定の要件を満たすものについては、期末時価評価課税の対象外となりました。これは、Web3.0ビジネスを推進する上で大きな変更点でした。

2.税制改正の議論と今後の可能性

ビットコインと世界

個人の税制改正要望

現在の「雑所得・総合課税」は税負担が重く、計算も複雑であることから、業界団体(一般社団法人日本暗号資産取引業協会-JVCEAなど)や一部の政治家からは、株式やFX(外国為替証拠金取引)のように「申告分離課税」(例えば一律20%程度の税率)の対象とすることや、損失の繰越控除を認めることを求める声が強く上がっています。

これらの要望は、投資家が安心して市場に参加しやすくなる環境を整備し、日本のWeb3.0分野における国際競争力を高めるためにも重要だとされています。

政府・与党の動向

税制改正は、毎年、政府や与党の税制調査会で議論され、「税制改正大綱」としてまとめられます。暗号資産に関する税制も、これらの議論の対象となる可能性があります。
Web3.0を国家戦略として推進する動きがある中で、税制がその阻害要因にならないように見直しを検討する動きは今後も続く可能性があります。

しかし、個人の暗号資産税制(申告分離課税化など)が具体的にいつ、どのような形で変更されるかは、現時点では不透明です。大きな変更には慎重な意見もあり、議論の行方を見守る必要があります。

結論として

法人税制については近年一部改正がありましたが、個人投資家に関わる「雑所得から申告分離課税へ」といった大きな税制変更は、現時点では決定していません。

ただし、改正を求める声は根強く、今後の政府・与党の議論次第では変更される可能性はあります。もし変更がある場合は、通常、年末に発表される「税制改正大綱」に盛り込まれ、翌年度以降の税法改正案として国会で審議されることになります。

日本における暗号資産(仮想通貨)の税制改正について、最近以下のような動きがありました:

最新の動き(2025年6月時点)

  1. 暗号資産の金融商品化・分離課税導入検討
    金融庁は、暗号資産を資金決済法から金融商品取引法(金商法)の対象へ移行する方向で検討を開始。これにより、現在の総合課税(最高55%)から、株式と同様の約20%の申告分離課税化が見込まれています。
  2. 金融庁・FSAの提案内容
    2025年6月25日の金融審議会で、FSAは制度構築に向けたディスカッションペーパーを公表。また、Coin WorldやCointelegraphの報道では、「金融商品」への再定義とフラット20%税率の提案がなされたことが伝えられています。
  3. 今後のスケジュール感
    自民党Web3ワーキンググループ(2025年3月)や与党の税制大綱(2024年12月)でも、分離課税への改革検討が明記されています。現時点では、制度設計やパブリックコメントなどが進行中で、2025年末の税制改正大綱に盛り込まれれば、2026年度(=2026年1月以降)の導入が有力です。

現行税制と改正後のイメージ比較

項目 現行 改正後(想定)
税率体系 累進課税+住民税 最高55% 一律20~20.315%(所得税+住民税)
法規制 総合課税(雑所得) 株式等と同様の申告分離課税+損失繰越も検討中
対象資産 暗号資産全般(含む中小コイン) 当初はBTCやETHなど主要通貨に限定される可能性

今後の展開ポイント

  • 夏~秋 2025:パブリックコメント受付 → 制度設計の詳細調整
  • 年末 2025:税制改正大綱にて正式に反映されるか判断
  • 2026年以降:仮想通貨への一律分離課税(20%台)導入の可能性大

暗号資産に関しては、「55%の総合課税」から「20%程度の申告分離課税」へと大きな転換が現実味を帯びてきました。今後、金融庁や与党の動向を注視しつつ、2025年末の税制改正大綱にどう反映されるかが見どころです。

今持っているビットコインを売るときにも20%分離課税が適用されるか?

適用される可能性は高いが、「施行日以降の売却」が条件になる見込みです。

理由と背景

現在検討されている暗号資産の税制改革(=分離課税化)は、「課税方式の変更」です。こうした制度変更は通常、

  • 施行日以降に発生した売却益について、新制度が適用されます。
  • それ以前の取引については「従来の制度(総合課税)」が適用されるのが基本です。

つまり、「ビットコインをいつ売るか」が非常に重要になります。

具体的なイメージ(仮)

たとえば、以下のようなスケジュールで制度が導入されると仮定します:

  • 2025年12月:税制改正大綱に明記
  • 2026年1月1日:新制度施行(20%の申告分離課税)

この場合:

売却日 適用税制 税率
2025年12月以前 現行制度(総合課税) 最大55%(所得により変動)
2026年1月以降 新制度(申告分離課税) 一律約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興税0.315%)

つまり、「今保有しているビットコインを2026年1月以降に売れば20%の税制が適用される」ことが期待されます。

まとめ

質問 回答
今保有しているBTCを売ったら20%課税? 2026年以降に売却すれば20%の分離課税が適用される可能性が高い
売却タイミングで変わる? はい。施行日「前」か「後」かで適用される制度が変わる
特別な手続きは必要? 現時点では不要だが、確定申告は引き続き必要になる見込みです。

今手元にあるビットコインは売らずに取っておいた方が良さそうですね。