国内ではじっちゃまこと広瀬隆雄さんが取り上げたこともあって人気のマルケタ。このマルケタ(MQ)は6月9日、株式市場でのデビューを成功させました。ナスダックでの取引初日でいきなり、同社の株価は2桁の上昇を見せます。今回の公募でおよそ12億ドルを調達する予定とのこと。2021年のMQ株の見通しはテック系に投資している人ならみんな気になっているでしょう。IPO後、株価はさらに上昇するかどうか。
カード発行プラットフォーム マルケタ
2010年に設立されたマルケタは、企業がプリペイドカードやデビットカードを発行し、顧客のためにデジタル決済を処理するのに役立つオープンAPIプラットフォームを提供しています。
マルケタの顧客にはSquare、DoorDash、Instacartなど、今熱い企業名が並びます。
6月9日、マルケタはティッカーシンボル「MQ」でナスダックでの取引を開始しました。
株式は、IPO価格から20.4%上昇した32.50ドルで始まり、13%上昇した30.52ドルで終了。
今回のIPOでは、合計4550万株が1株27ドルで提供され、当初、マルケタは20ドルから24ドルで株式を提供する予定でした。
IPOは、慣習的なクロージング条件に従い、6月11日に終了。
マルケタは、今回の株式公開による純利益を、成長戦略、運転資金、および一般的な企業目的に使用する予定です。
ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、シティグループ、バークレイズ、ウィリアム・ブレア、およびキーバンク・キャピタル・マーケッツが主幹事を務めています。
そうそうたるラインナップですね。
引受会社は、マルケタから680万株をIPO価格で追加購入する30日間のオプションを持っています。
マルケタの株価はもっと上がる可能性がある?
マルケタの株価は、6月10日の市場前取引で2%上昇。
同社のIPOは需要が高いため、株価はさらに上昇することが予想されます。
マルケタの収益は、2020年に前年比103%の2億9,030万ドル、2021年の第1四半期には123%の1億800万ドルに成長しました。
感染拡大の中で、デジタル決済にシフトしたことが功を奏したのは間違いありません。
ただし、最大の顧客であるSquareは、2020年の収益の70%を占めているんです。
ここが個人的に引っかかっているところです。
一社に寄っかかり過ぎている。
それにマルケタは、損失が縮小したとはいえ、まだ赤字なんです。
同社は、2019年の5820万ドルに対し、2020年は4770万ドルの純損失を計上しています。
熱狂の最中でも、決して軽んじていい数字じゃありません。
マルケタの株価予想
とはいえ、当面は株価の見通しについても有望といえるでしょう。
決済処理会社は、自社製品に対する強力かつ長期的な需要があります。
カード決済の世界市場は45兆ドルに達し、2030年には80兆ドルに成長すると推定されているんです。
そういった意味では、長期投資にも向いているはずです。
マルケタの報告によると、2020年には601億ドルの取引を処理し、前年比177%の成長を遂げました。
ただし、同社の総処理量は、2020年に米国のカード発行会社が処理した6.7兆ドルの1%にも満たないわけです。
マルケタは、独自のプラットフォーム、イノベーション、競争優位性により、市場シェアを大きく伸ばすことができる、とポジティブに考えています。
感染拡大でデジタル化が加速していることも、同社の助けになると予想できます。地合いは良いですね。
マルケタの株式評価
マルケタのIPOでは、事業の評価額は152億ドルでしたが、デビュー時にMQ株が急騰したことで160億ドルに急騰しました。
同社の株価は現在、2020年の売上高に対する株価倍率が55.1倍となっています。
同業のグローバル・ペイメンツとフィサーブが今後12カ月の売上高EV倍率をそれぞれ8.3倍、5.8倍としていることを考えると、マルケタは過大評価されているように見えます。
今後の100%の成長率を考慮すると株価はそれなりですが、今はちょっと加熱しすぎてるんじゃないかと思いますね。