プラグ・パワー社の目標株価が134%上昇?ウォール街のアナリストは同社を好意的に見すぎている

世界的にクリーンエネルギーへの移行が進み、クリーンエネルギー関連のテクノロジー企業が脚光を浴びています。燃料電池メーカーであるプラグパワー社(NASDAQ:PLUG)の株価は、その有望な水素燃料電池技術に対する投資家の高揚感を背景に、昨年10倍に上昇しました。しかし、今年になって株価は大きく反転し、2021年のピーク時から68%も下落しています。ウォール街のアナリストによるとプラグ・パワー社の平均目標株価は、現在の水準から来年にかけて134%上昇した数値。

この数字は信じて良いでしょうか?

大損した自分としては、にわかには受け入れられない数字です。

プラグ・パワー社は損失ばかり

水素 燃料

プラグ・パワー社は、上場企業として21年以上運営してきましたが、一度も利益を出したことがありません。また、EBITDAがプラスになったこともなく、多額の現金を消費しています。

さらに、主要な財務指標もいい方向には向かっていません。

昨年の営業利益と営業キャッシュは大きく落ち込んでいます。

プラグ・パワー社が改善を見せている唯一の指標は、売上総利益ぐらい。

しかし、利益が出ていない状況で、売上が増えても正直微妙です。

プラグ・パワー社の資金調達方法

常に赤字を出しながら、これほど長く存続できるのはなぜか?

同社は事業を進めるために必要な資金を「負債と資本の両方から調達する能力」を持っています。

プラグ・パワー社の発行済み株式数と負債は、いずれも年々大きく増加しています。

実際、同社の発行済み株式数は、過去2年間で2倍以上に増加していて、これは株価の高さを利用して急速に新株を発行したことが理由になっています。

1年前には1株あたり4ドル程度で取引されていた株価は、同社が大規模な成長計画を発表したこともあり、2021年1月には73ドルを超えるまで順調に上昇。

9月、プラグ・パワー社の経営陣は、2024年までに12億ドルの総売上高を達成するという高い目標を打ち出しました。

さらに、同年までに2億5,000万ドルの調整後、EBITDA(利払い前・税引き前利益、減価償却の総和で求められる利益)を生み出す見込みであることを発表しました。

ただし、その後プラグ・パワー社は、2024年の売上総利益目標を17億ドルに引き上げましたが、長期的なEBITDAの見通しについてはあまり言及していません。

同社は、月曜日に発表した最新情報で、売上総利益の目標を再度表明しましたが、EBITDAについては何も述べていないのです。

プラグ・パワー社のEBITDA黒字化計画は、かなり漠然としたもので、全然現実的とは言えない状況です。

さらに、プラグ・パワー社は、これまでにもEBITDAガイダンスを達成できなかった経緯があります。

また、同社の2020年の年次報告書と2021年の第1四半期の報告書は、過去に発行した財務諸表を修正する準備をしているため、いずれも遅れています。

これらの問題はすべて、投資家が見落としてはいけない部分です。

プラグ・パワー社が抱えるリスク

水素ステーション

燃料電池技術は依然として有望です。そこは変わりません。

燃料電池は、環境にやさしい方法でエネルギーを生成・貯蔵する優れた方法となります。

しかし、コスト面では、他のグリーンエネルギーに追いつくことは、到底不可能です。少なくとも現時点では。

輸送分野での燃料電池の普及率は、リチウムイオン電池の普及率よりも低い。

燃料電池のコストは数年前から大幅に低下しているが、まだ経済的には競争力がないのです。

プラグパワー社が直面している競争の激しさは、燃料電池に代わる環境に優しい製品や他の燃料電池企業との競争と言えるでしょう。

目標株価を鵜呑みにできない

プラグ・パワー社の実績を考えれば、ウォール街が設定したプラグパワー社の目標株価は55ドルとかなり楽観的に見えます。

これは、2021年に4億7,500万ドルの売上を見込んでいることから、売上高に対する価格比が68であることを意味しています。

「20年以上にわたって利益を上げることができず、大きなリスクに直面している企業」と考えれば、かなり高い水準。

さらに、高い売上成長率を達成しても、激しい競争のためにプラグ・パワー社の利益は厳しい状態が続くでしょう。

たとえ黒字化したとしても、この評価はあまりに高すぎる。

燃料電池自体は非常に魅力的で、飛びつきたくなりますよね。

ただ、プラグ・パワー社の株を保有する上のでリスクは、常に念頭に置いておくべきです。

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