アービトラージ(裁定取引)はETFの価格にどのような影響を与えるか?

ETFの裁定取引は、乖離が生じた際にETFの市場価格を基準価額に一致させることで市場を助けると考えられています。しかし、ETFの裁定取引が市場のボラティリティを高めるかどうかについては疑問が生じています。

ETFはボラティリティを高めるか

2014年にBen-David、Franzoni、Moussawiが行った「ETFはボラティリティを高めるか」という研究では、ETFの裁定取引が原証券のボラティリティに与える影響を検証しています。

彼らは、ETFは原株の日々のボラティリティを3.4%増加させると結論づけています。

他にも、市場が極端に動いたときにETFと原証券の間でどの程度のミスプライスが発生するのか、また、市場が極端に動いたときに基準価額と市場価格が収束するアービトラージによる利益が失敗するのではないかという疑問が残ります。

例えば、2010年のフラッシュ・クラッシュでは、大きく値下がりした証券の多くをETFが占め、また、一時的に原指数から10%以上のミスプライシングが発生しました。

今回の事例は、ETFの裁定取引が一時的にボラティリティーを高めたり、意図しない結果をもたらした可能性がある孤立した事象ですが、さらなる調査が必要です。

結論:ETFの裁定取引は長期的な戦略ではない

投資

ミスプライスは短期的に発生し、そのような機会はすぐにではなく、数分以内に閉じてしまいます。

しかし、ETFの裁定取引は、裁定者と市場にとって有利なものです。

裁定取引者はスプレッドの利益を獲得しながら、裁定取引が終了すると、ETFの市場価格を基準価額に合わせて戻すことができます。

このような市場上のメリットがある一方で、ETFの裁定取引は、ミスプライスを強調したり、激化させたりするため、原資産のボラティリティを高める可能性があることが調査で示されています。

ボラティリティーの増加については、さらなる研究が必要です。

それまでの間、市場参加者は株価と基準価額の一時的なスプレッドの恩恵を受け続けることになるでしょう。

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